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目が腫れぼったくなってしまったのか、泣いたことがバレバレで、恥ずかしく目だけでなく顔も赤くする。
「新君と話したいことがある……から、ちょっと時間作ってほしい」
「俺も、ひじりと話したいことがある」
背中を押してくれた千葉君と別れ、二人傘を差して校舎に向かって歩いて行く。
そして、中庭まで来た所立ち止まり、私は久しぶりに新君をちゃんと見上げた。
「別れたいって……言ってしまったけれど……まだ可能なら、撤回したい」
自分勝手なことを言ってるのは分かっている。でも、好きな新君を失いたくなかった。
「新君に振られるのが怖くて、言ってしまって……」
ちゃんと伝えなくちゃいけない。私の気持ちを、今、ちゃんと。
「私と……付き合ってほしいです」
言いながら、再び涙が伝い、顔がぐしゃぐしゃになっていく。
──だが、私を見ていた新君は、予想外にも首を傾げた。
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