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「え、俺達、別れてた? 俺、うん、って言った覚えないけど」
「へ……」
「俺はひじりと別れたつもりなんてない。何が悪かったのかなって、ずっと考えてた」
「……新君」
「俺は、ひじりのことが好きだよ」
目を合わせた新君は、いつものように柔らかな笑顔を見せて、私を見つめる。
「私も……新君のことが、好き。……大好き」
新君は差していた自分の傘を閉じると、私の赤い傘に入ってくる。
そして、誰もいない中庭で、私達はゆっくり唇を重ねた。
「ひじりが好きって、嬉しい」
「遅くなってしまってごめんなさい」
「ううん、待ってたよ」
私は、ちゃんと新君の顔を見て、ずっと付き合っていきたい。
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