プロローグ

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5  重機に乗り、エンジンをかける。深呼吸。    よし。  重機で親父が作った材料を運搬車に積む作業。  世間一般で想像するショベルカーの先の部分が、2つの爪になっており、木を挟めるようになっている。ということは、操作もショベルカーより、断然難しい。  ショベルカーは土を掘ったり、盛ったりするが、林業仕様は木を掴むので、操作を間違えると、掴んだ木で重機自体にぶつけてしまう可能性がある。    慎重に掴み、向きを考え、積む。向きを揃えておかないと、降ろすときに大変になってしまうからだ。と同時に数種類の材料が混ざっているので、使用目的によって分けておく。これも大事。  今では機械で簡単に2、30本は積んでしまうが、昔の人はこれを数本ずつソリで出したというから、凄いの一言に尽きる。    積み終えたら、今度は搬出車で山をくだる。これも神経を使う。スピードを出しすぎても危ないし、遅すぎたら、仕事にならない。適度なスピードで山を下りていく。 クローラ(一般的にはキャタピラーと呼ぶが、それは商品名なので。)で下りていくので、車の運転とは少し違う。タイヤは前輪か後輪駆動だが、クローラは真ん中なので、曲がるときに、注意が必要だ。  車はハンドルを切ると、滑らかに曲がっていくが、クローラはハンドル(レバー)を切ると、真ん中から動くので、切るのが速すぎると、手前で曲がってしまう。簡単に言えば、切り続けると、車は円を描くが、クローラはその場で回るという感じだ。  山を下りきると、そこにはもう一台重機が待っている。今度は降ろす作業だ。
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