プロローグ

3/17
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/18ページ
 1  山はすっかり紅色に染まり、秋を彩っている。俺と親父が向かうのは、そういう山ではなく、針葉樹、つまり紅葉しない類の山だ。例えば、杉とか檜とか。  自宅から車で20分程。舗装道路から少し入った山の入り口。昨日、搬出した材が、綺麗に積まれている。2、3、4メートルと、用途に分けて、積んである。  車を降り、仕事の服装に着替える。これが意外と大変なのだ。  まずズボンを防護ズボンに履き替える。靴は地下足袋に。これが一番歩きやすい。手には防振手袋。頭はヘルメットと耳当て。それと防護めがね。正直言って、重いのは否めないが、安全に作業するには仕方がない。  以前、チェーンソーがはじかれて足に当たり、防護ズボンを履いていたおかげで助かったことがあった。やはり、怪我はしたくない。  着替えが終わり、親父は搬出車に乗り、山の奥に入っていった。俺はというと、チェーンソーを担いで、徒歩で現場に向かう。5分くらいで到着。  
/18ページ

最初のコメントを投稿しよう!