プロローグ

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 まず、俺は平らなところと切り株を探した。チェーンソーの刃を研ぐためだ。刃を研ぐのにも技術がいる。  最初の頃は、研いでも研いでも上手くいかなかった。しかし、月日が経つにつれ、段々とどうすればいいかが分かってきた。親父が「見て覚えろ」と言っていた意味が、今では分かる。感覚が大事だと理解したのは、1年くらい経った頃だった。  チェーンソーを研ぎ終えると俺は、これから倒す木の方に歩いていった。倒した木は重機で集めるので、出来るだけ、合理的に仕事が進むように、倒すエリアを考えなければならない。これも、経験を積まないと、判断できない。  俺は親父が向かっていった方向から、現場を予想し、そのエリアへと向かっていった。
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