プロローグ

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 2  遠くの方で重機が動いている音がする。その方向と音の大きさから、俺は倒す場所を決めた。  次は選木。つまり、倒す木を選ぶということ。俺達が今やろうとしていることは間伐。間伐というのは、全伐(その山の木を全部倒すこと)を行うまでに、数回行われる。  最終的には全伐の際に、最も良い材を作るという目的があるので、間伐は良い材を伐採しつつも、山を育てるという意味合いも含まれる。  簡潔に言えば、伐採し終わった後に、混み具合が均等で、成長具合も均等な木が残るようにすればいいということだ。  俺の経験はまだ浅いが、こういう時は、まずその場所で1番太い木を倒すということを学んだ。  結果、太さを均等に残すのであれば、遅かれ早かれ、1番太い木は倒すことになる。そして、太い木を倒せば、おのずと1番広い間隔が出来るので、それを基準にバランスも取りやすい。    俺は早速、太い木を見つけ出すと、周りの様子を見て、上を見上げた。人はいないだろうか。他の木との間につるは絡まっていないだろうか。笛を吹いてみる。反応は無い。  よし。誰もいない。ここで、木が倒れた際に自分が逃げる場所も決めておく。
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