プロローグ

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 3 「おーい。」 「はーい。」  チェーンソーのエンジンを切り、親父が登ってくるのを待つ。さすがに何十年もやっているだけあって、親父は息を切らす気配すらない。 「どうだ。分かるか。」 「まあ、何となく。」 「次はどれを倒すんだ?」  俺は少し考えて、次倒そうと思っている木を指さした。 「まあまあだな。」  親父はこういう時、答えを言ってくれない。初めの方は、何も言わないので疑問に思ったり、不満に思ったりしていたが、今になってみると、それもわざとなのだということに気付いた。  習うより慣れろ。  自分でやった行為が、結果、失敗だったとしても、成功だったとしても、人に言われてやるより、断然、身につく。 「見ててるから、倒してみろ。」  唐突に親父が言い出した。親父は少し離れた所の切り株に座り、笑いながらやってみろと手で合図した。  少しの緊張感。先程と同じ手順で木を倒した。上手くいった。親父が後ろから近付いてきた。 「70点だな。」 「はい。」  素直に答える。 「何が足りないか分かるか。」 「いや。分からない。」 「淳、何処を狙って倒した?」 「あの木とあの木の間。」 「じゃあ、その時点で間違いだ。」
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