素赤

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そんな夜はあちこちの夜景を堪能していたが、逢瀬の回数も多くなるとおのずと懐も気にするようになる。 「俺の部屋に、来る?」 クスクスからかうようにしながらそんな事を言われて、私が断らないのもお見通しだったのだろう。 今でもそれは変わらないし、すくわれた後に何か不満がある訳ではないと思っている。 抱けば身体すべてを愛してくれるし、明けて朝にも変わらぬ態度で見送ってくれる。 逆なら残された部屋で切なくもなるが、こうする事で私は素早く現実に切り替える事ができるのだ。 残されたあいつは、どうなんだろう。 「うちに、来る?」 何度か誘ってはみたが、あいつは絶対にそうしない。 「俺の匂いつけちゃ、まずいでしょ」
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