素赤

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唯一、首を傾げる事があるとすれば、 「他の男に悪いからさ?」 こうも逢瀬を繰り返し身体を合わせ、愛してるなんて囁くくせに、私を独占しようとしないところだ。 簡単に言えば、男女ではありたいが家族にはなりたくないという事だろう。 すぐに服を脱ぐような女なのだから、どうこう言える資格はないが。 かと言って、あいつには他が居ない。 勤務先の仕事がハードであるのは、取引先で事情を耳にする私ならよく判る。 部屋にも残骸のかけらもない。 それに、何年も経つというのに、相変わらず甘いメッセージなら頻繁だ。 何度となく、何を求め何を諦めているのかなんて伺いかけたが、返事など返ってきた事はない。 だから私は、それを知るまで離れる気はない。
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