Chapter 21

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2、 復帰して1週間になるが、克成は未だ現場に出れていなかった。本来なら2、3日で戻る筈だったのだが、ずっとデスクワークに掛かりっきりだ。 椿山ヒカルを忘れようと、がむしゃらに書類整理に打ち込んだのがいけなかった。 同僚からは『事務職人の東城』と呼ばれ始め、班内の書類仕事を押し付けられ続けていた。 今も克成の机の上には、崩れそうなほどに積まれた書類たちが、多大なる威圧感を放ちながらどっしりと鎮座している。 ―――気が遠くなるな。 長時間、液晶画面とにらめっこしていたが、集中力が途切れた。 克成が休憩にしようかと思った時、 「東城。」 赤石に地面に沈みそうな重い声で名を呼ばれた。目が合うと、来い来いとこちらへ手招きする。 出した小銭を戻してデスクの前に立つと、赤石に無言でじいっと睨まれた。苦虫を噛みしめたような顔とは、こんな顔か。 「何です?報告書なら今、書いてますが。」 「総監がお呼びよ。」 ザワッ―――と、室内が揺れる。 克成も驚いた。 総監自らヒラ個人を呼びつける事など、今までに1度もなかったからだ。 「あんた。いったい、何やらかしたのよ?」
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