Chapter 23

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3、 〈A side〉 「雨宮さん、お願いが―――。」 雨宮の目の前で立ち止まると、東城が腕を伸ばしてきた。ふたりの距離が縮まる程に、体の熱が高まっていく。ねじ曲がった心に比べて体は素直だ。 早く触れられたい。 その手で、その舌で、どろどろになるまで熱く溶かして欲しい。 「こういう事、他の人とはしないでください。」 指の腹で奏生の頬を撫でながら、東城が切なげに眉を寄せる。しかし、その瞳の奥には隠しきれていない熱が揺らめいていた。 ―――そうだ。 そうやって、オレを捕まえに来い。 奏生はうっそりと笑い、東城の首筋に腕をかけると、耳元へ唇を寄せた。 「満足させてくれるなら、東城だけにしようかな。」 甘く囁いてから上半身を離し東城の顔を覗くと、そこにはギラギラと獣のように欲を露にした顔があった。 ぞくりとなる。 欲しかったのはその熱量だ。 逃さない―――とばかりに、奏生の体を腕の中へ囲い込む。拘束する腕の力と体温が心地よい。 ほうっと、奏生の口から息が零れた。 「あなたを必ず落としてみせます。」 「楽しみにしている。」 ―――本当に楽しみだ。 東城を好きなように振り回すのは、きっととても愉快だろう。どんな風に楽しませてくれるのか、気分が急上昇する。 まるで空を飛んでいる気分だ。 でも、きっと。 星まで届きそうなほど高く舞い上がったその後、東城の手で地上へ落とされてしまうだろう。 早くその時がくればいい―――と、思っている。 地面へ叩きつけられ壊れてしまうのか、それとも落ちてしまう前に溶けて消えてしまうのか。 破片もなく砕ける程に堕ちる事ができれば、とても不幸で、きっと幸せだ。 焦げる熱に晒されながら、空から落下する自分の姿を想像して、奏生はうっとりと瞳を閉じた。 End. 最後までお付き合いくださり、ありがとうございました!
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