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彼と海はよく行った。
彼が運転する車。音楽はいつだってレゲエ。
私はレゲエ音楽にはあまり興味なかった。
そして、いつも、道中喧嘩になった。
暑いのと、渋滞で。
みんな、夏は海へ行く。
正直、なにも楽しくはなかった。
中学生の頃、夏休みに、女子グループと男子グループ合同で海に行った。
青春ピーク。
好きな男子がいて、ビーチボールで遊んだ。
すると、その男子が「あれ? お前怪我してんのか」と言ってきた。
最悪なことに私はまだ初潮が来ていなかった。
今日がその日、なんて聞いてない。
慌てて女の子たちが色々手配してくれて助かったけど、正直好きな男の子はひいていた。
初めて目にする性というものだからだ。
それきり、私はその男子生徒に近づくこともなく三年間は終わった。
幼稚園の頃。
これまた海で、私は妹と一緒に砂浜に駆けだした。
その頃、海は大好きだった。
墓参りのたびに海に行けるので、とても楽しみにしていた。
熱い砂浜に裸足で駆けだした途端、私はちくりとした痛みを感じた。
砂浜にあった貝殻の欠片が私の足の裏の刺さったのだ。
皮膚の下に深く潜り込んだ小さな黒い破片。
すごく痛い。
父親が針を熱して、抉りだそうとした。
私は大泣きした。
針で抉るたびに激痛が走る。思わず父を蹴りそうになるので、家族が足を押えた。
拷問か。
この時点で海は嫌いになった。
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