一両目 忘れ物

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***  そんな会話をした数日後。失くしものをよくするというクラスメイトが、ミチルに連れられて曳野とウサミミのいる事務所へやってきた。 「この子の相談に乗ってほしいんです。とっても困っているみたいで」 「よろしくお願いします」  クラスメイトの名前は、浅野亜里(あさの あり)。  ミチルと似た感じの自由闊達そうな女の子だが、今は元気がない。  そして、なぜかもう一人、険しい表情の男子高校生がついてきている。 「彼は?」 「あの……」  ミチルが何か言う前に、男子高校生が先に言った。 「猪瀬統(いのせ すまる)です! 今日は亜里のつきそいです!」  言葉遣いは丁寧だが、なぜか曳野を睨んでいる。 「なんか、睨まれているように感じるけど……」  曳野は不快感をできるだけ抑えながら、ミチルに言った。 「彼は、亜里の保護者みたいなもんなんです」 「保護者? つまり、彼氏?」  統は、「フンッ」と、敵意むき出しの態度を直さない。
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