158人が本棚に入れています
本棚に追加
***
そんな会話をした数日後。失くしものをよくするというクラスメイトが、ミチルに連れられて曳野とウサミミのいる事務所へやってきた。
「この子の相談に乗ってほしいんです。とっても困っているみたいで」
「よろしくお願いします」
クラスメイトの名前は、浅野亜里(あさの あり)。
ミチルと似た感じの自由闊達そうな女の子だが、今は元気がない。
そして、なぜかもう一人、険しい表情の男子高校生がついてきている。
「彼は?」
「あの……」
ミチルが何か言う前に、男子高校生が先に言った。
「猪瀬統(いのせ すまる)です! 今日は亜里のつきそいです!」
言葉遣いは丁寧だが、なぜか曳野を睨んでいる。
「なんか、睨まれているように感じるけど……」
曳野は不快感をできるだけ抑えながら、ミチルに言った。
「彼は、亜里の保護者みたいなもんなんです」
「保護者? つまり、彼氏?」
統は、「フンッ」と、敵意むき出しの態度を直さない。
最初のコメントを投稿しよう!