一両目 忘れ物

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――とはいえ、高校生相手に熱くなったりしない。できる限り重低音の声と険しい顔で言った。 「君が探偵にどんなイメージを持っていても勝手だが、それを本人に向かって言っていいかどうかは、判断できてもいい年齢だ。最初から喧嘩腰な態度も、幼稚でいただけないな」 「ムッ」  統は腹が立ったようだが、曳野の正論に言い返せない。  悔しそうな、恥ずかしそうな顔になった。  亜里がとうとう怒った。 「やめてよ! 勝手についてきて、非常識なことを言うのは! 謝ってちょうだい!」  亜里の迫力に気圧(けお)された統は、小さい声でしぶしぶ謝った。 「すみませんでした」 (彼女には、頭が上がらないんだなー)と、曳野もウサミミもミチルも驚いた。 「ごめんなさい! 私が、探偵に相談するのはちょっと怖いなあと口走っちゃったからなんです!」  亜里は改めて曳野に謝ると、なぜ統がこんな態度なのかについて説明した。 「探偵は、怖くないですよ」 「来てみて分かりました。ここは怖くないですね。ミチルから、私たちと同じ年の助手さんもいると聞いてましたけど、本当だったんですね」  亜里は、ウサミミを見て笑顔になった。
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