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「落ち着いて。ここで何をしていたか聞きたいだけだ」
「何にもしていません!」
「じゃあ、なぜ逃げ出した?」
「ビックリして。よく考えたら、逃げる必要はなかったです」
男はヘラヘラと笑った。
「この高校の誰かに用事があるんだろ?」
「いえいえ、たまたま高校前にいただけです」
「誤魔化すな。この高校に通う、とある生徒に会いに来たんだろ。その子の名前は? 関係は?」
「……」
男は、核心に触れるとだんまりとなった。
曳野も、当然、抵抗は承知の上。
「何も言わなければ、警察に通報する。今、正直に言えば通報しない」
曳野が脅すと、男はあっさりと認めた。
「分かりました。学校には内緒でお願いします。浅野亜里って生徒を見に来たんです」
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