一両目 忘れ物

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「本物のようだな」 「これで、分かった? 俺は悪くないって。悪いのは、本人だろ?」  曳野は、男の主張を否定した。 「やはり、本人が載せたものではないな。お前みたいな男が次々に寄ってきて困っていると、我々は本人から直々に相談されている。彼女は、学校と警察にも相談しているから無用で近づくと通報されるぞ」 「そんなあ!」  真実を知った男は、大きく嘆いた。 「本人がこれを載せて誘っていると、本気で信じていたのか?」 「そうです……」  どうしてこんなにお目出度いのか、曳野とウサミミは理解に苦しむ。 「この掲示板って、なんの情報用?」 「可愛い女の子情報を交換する掲示板です」 「この画像の肝心な部分は黒塗りされているが、どうやって名前などを知った?」  顔写真の目元は黒く塗られている。ほかも、個人を特定できる箇所は隠されている。 「さっきの掲示板のメッセージに、リンクが貼られているんです」  誰かが亜里になりすまして書き込んだメッセージ。そこのリンクをクリックすると、ほとんど黒塗りされた生徒手帳のページと、『もっと私のことを知りたい方は、こちらへ』と、さらに別サイトへ誘導される。  それもクリックすると、料金表の画面が出てきた。  顔写真はいくら、学校名はいくらと料金設定されている。  だんだんと、からくりが分かってきた。
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