158人が本棚に入れています
本棚に追加
「肝心な部分を隠して好奇心をあおり、お金を払わせる仕組みか」
巧みな心理作戦に、曳野は感心した。
「人の情報を売り買いするなんて、ひどい話ですね」
ウサミミは、腹が立った。
「この子の情報は、どこまで手に入れた?」
「顔写真、名前、高校名」
「自宅住所は?」
「自宅住所は非売品だとかで、売ってもらえませんでした」
だから、自宅近くでは現れず、高校前だけだったということだ。
「総額で、君はいくら払ったんだ?」
「10万円」
「た、かーい!」
ビックリしたウサミミは、思わず声をあげた。
(そんなことにお金を払う男って!)
ウサミミには、さっぱり理解できない。
「高い金を払ったからには、今度は直接見たくなるってことか。これで、不特定多数が同じ時期に集まってきた理由が分かった。これを買った男たちが、一斉に寄ってきたってわけだ」
「もう、いいですか?」
「二度と、この子に近づくなよ」
亜里の情報を消させて、二度と近づかない約束をさせると、男を解放した。
「10万円も払ったのに……」と、ブツブツ文句を言いながら、男はどこかへ消えた。
最初のコメントを投稿しよう!