一両目 忘れ物

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 各自の前に頼んだ品が並ぶ。 「所長のホットコーヒーです」  ウサミミは、ウェイトレスが置いたコーヒーを曳野の前に回した。  亜里と統は、アイスミルクティー。  ウサミミとミチルは、アイスコーヒー。  甘くないと飲めないミチルが、テーブルの遠くにあるガムシロップ入りのミルクピッチャーに手を伸ばしたが、少し届かない。 「はい」  近くに座っていた亜里が代わりにそれを取って、テーブル越しにミチルへ手を伸ばして渡した。  その際、亜里の左手首が服の袖から出て、肌色のリストバンドが曳野の目に入った。 「ありがとう」  ミチルはドバドバとガムシロップを入れた。  ストローでよくかき混ぜると、美味しそうに飲んでいる。  相当、甘そうだとウサミミは思った。
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