一両目 忘れ物

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 曳野は、亜里に聞いた。 「生徒手帳は、どの駅で見つかったんだっけ?」 「南北線の飯田橋駅です」 「南北線? あれ? 大井町線しか使っていないんだよね?」 「そうです。でも、なぜか、そこにあったんです」 「そうか……」  曳野は、次に統に聞いた。 「君は、どこの駅から来ているんだ?」 「は? 自由が丘駅だけど?」  統は、不意打ちを食らった顔をしている。  曳野は、ミチルにも聞いた。 「君は?」 「私は、バスで通ってます」 「電車に乗らないのか?」 「そうです」 「分かった。ありがとう」 「何か、分かりましたか?」 「まだ調査中だけど、近いうちに報告できるように頑張るよ」  先ほどの男には全く触れないまま、話は終わった。
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