158人が本棚に入れています
本棚に追加
三人と別れると、ウサミミは曳野に聞いた。
「校門前にいた男について、言わないんですか?」
「まだ、はっきりしたことが分からないからね。逐一報告しても、余計な不安を与えるだけだから」
「そうですけど……。この後は? 事務所に戻りますか?」
「このまま、猪瀬統を尾行する」
「え? 彼を?」
曳野の得意なITテクニックで、ネットの黒幕を暴くつもりだろうとウサミミは考えていたが、曳野にそのつもりはなかったようだ。
前を歩く、三人。
ミチルが別れ、亜里と統は一緒に北千束駅から大井町線に乗った。
曳野とウサミミは、気づかれないように数両離れて乗った。
「先ほど自由が丘駅を使っていると言っていたので、それが本当か確認する」
「嘘を吐いているかもしれないってことですか? では、彼が怪しいと言うんですか?」
「亜里さんの近くにいて、生徒手帳を手に入れることのできる人間が怪しい。猪瀬統もその一人だ」
「たまたま、生徒手帳を拾った誰か、じゃないですか?」
「生徒手帳が見つかった駅は南北線飯田橋駅。これがどういう意味か、前に説明したから分かるだろ?」
最初のコメントを投稿しよう!