一両目 忘れ物

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「統の亜里さんを守る姿は、まるで、ナイトに見えないか?」 「ナイトに? え!? まさか!」 「悪い奴らからお姫様を守る騎士になれる。怖ければ怖いほど、彼女は彼に感謝し、傾倒する。周囲にも英雄になれる。それが目的なんだ」 「そのために!?」  くだらない理由に、ウサミミは驚いた。 「学校だけなら、統が常に見ていられる。しかし、自宅までは守れない。だから売らなかったんだ。亜里さんを、本当の危険にさらすことが目的ではないんだ」 「では、なぜお金を取ったんでしょう?」 「売ることによって、人数を調整できるからじゃないか? これが、ただの嫌がらせと違うところだ。嫌がらせなら、無料公開するよ。そして、生徒手帳は処分すればいい。その方が自分の身が安全なのに、それをしなかった。ここからも、彼女をとことん困らせるつもりまではなかったのだろう」 「結局、全て亜里さんに近づくためだったということですか? 女の子としてはとても怖いことなのに、本当だったら許せません」  ウサミミは憤った。
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