158人が本棚に入れています
本棚に追加
ウサミミは、亜里の身を案じた。
「亜里さんは、大丈夫でしょうか? ここに向かったということは、統が何か企んでいるってことですよね?」
「僕らがまだ知らない何らかの恨みなどを、もしも、亜里さんに対して持っていたのなら、とても危険だ。変な手出しをしていなければいいのだが」
真実に近づく曳野たちの行動に統が焦り、最悪の結果を引き起こすことを曳野は恐れた。
「まずは、亜里さんに電話してみよう」
無事を確認することを兼ねて、曳野は亜里に電話を掛けた。
『ハイ、亜里です』
特に緊迫感もなさそうな声で出たので、ホッとした。
「そちらに猪瀬統が行っていませんか?」
『彼とは、自由が丘駅で別れたっきりです。その後のことは分かりません』
「来ていない?」
曳野は、変だと思った。今頃、統はとっくに亜里のところにいるに違いないと信じていた。
(確かに電車に乗っていたのに。では、どこへ行ったのだろう?)
最初のコメントを投稿しよう!