一両目 忘れ物

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「確認したいことがあるのですが、生徒手帳を捜しているときに、駅も捜すように勧めたのは誰でしたか?」 『統です』 「やはり……」 『え?』 「亜里さんの周囲で起きた諸々の出来事には、裏で仕組んだ人間がいたんです」 『え? そんな……。とても、信じられません……』  亜里の声はとても小さく弱々しい。 「今から詳しく報告するので会いたいのですが、家に行っていいですか?」 『今からですか?』 「はい。今、一人ですか? ご家族は?」 『誰もいません。一人です』 「すぐに行きます。もし、猪瀬統が来ても、家に入れないようにしてください」 『分かりました』  亜里の自宅。  電話を切った亜里の後ろには、統が立っている。 「これでいいの?」 「ああ。あとは黙って見ていてくれ」 「分かった」  統は、すでに亜里の家に来ていた。
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