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対照的に、亜里は真っ青な顔で震えている。
そんな亜里に、曳野が聞いた。
「亜里さんは、こいつに脅されていたんだよね?」
「はい……。さっきの電話の時、私の後ろにいたんです。その事は、伝わりましたか?」
「ああ、ちゃんと伝わった」
「よかった」
話の見えないウサミミは、曳野に説明を求めた。
「今の、どういう意味ですか?」
「僕が統の名前を口に出していないにも関わらず、統を家に入れるなと言ったことを亜里さんが疑問に思わなかった。それで、分かった」
亜里が頷いた。
「その通りです。統が突然やってきて、『自分がここにいることを、探偵に話すな』と言われて、何かあるんだろうと思っていました。それで、統に気づかれないように伝えたんです」
「生徒手帳を君から盗んで情報をネットで売り、忘れ物として駅に届けたのは、こいつ、猪瀬統だった」
「そんな気がしていました……」
亜里も、統に怪しさを感じていた。
統が、動いた。
曳野は、力を込めて統の腕を掴んだ。
「もう、暴れないよ。離してくれ」
統は小さな声で言った。
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