1・まさかの救世主

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いつも通りの朝 いつも通りの通学 大きな欠伸をして俺は、窓の外を流れるいつもと変わらない景色をぼんやり見つめる 桐原 秀人(きりはら ひでと) 親はなんて俺に似合わない名前を付けてくれたんだろうか 秀でたものなんて俺には何一つない 身長、体重、成績…どれをとっても普通だ 顔も……たぶん…普通だと思いたい… 「…………眠い…」 電車の揺れが心地良くて、ちょっとうとうとし始めた時 車内に流れた次の駅を案内するアナウンスに、嫌でも目が覚める また欠伸をして電車を降り改札を抜けると、人の行き交う駅の出入り口で「はよ」と友達の健(たける)が俺を見つけて手を上げる 「眠そうだなヒデ、昨夜ゲームしながら寝落ちただろーが?」 一人でクエスト終わらせるの大変だったんだぞ、と健は俺を軽く睨む 「ごめん、なんか眠くてさぁ……仕方ねぇからお詫びに宝珠1つやるよ…」 「マジか!やったね!」 健とハマっているオンラインゲームのせいで俺はいつも寝不足だ
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