1・まさかの救世主

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助けてくれた後、訳がわからず呆然とする俺を放置して水無瀬は何も言わず去っていった 「……あんなの気まぐれだろ、どうせ向こうは俺の事なんか知らねーよ」 「…だよなぁ…いいなー…あれだけ女子に囲まれたら選びたい放題だよな…俺も彼女欲しい…」 あーあ、と頭の後ろに両手を当てる健に俺はけらけら笑う 「ゲームオタクのお前には無理だろ」 「…エラそーに、お前もだろ」 お互いに嫌味を言って同時に吹き出す そう、水無瀬と俺じゃ住む世界が違う 女子に囲まれる事なんて非日常でしかない 羨んだ所で、頑張った所で…成績も顔の出来映えも水無瀬に届く事はない 同じ学校、同じ学年 俺と水無瀬の共通点なんてそれしかない そう……確かに今朝までそう思っていた 「ヒデ~!今日7時までにはログインしとけよ」 放課後になって早々、健は俺の元に来て早速ゲームの予定を入れてくる 「今日ってなんかイベント?」 「そう!素材集め!レア狙いだから寝落ちすんなよ!!」 じゃあな、と健は俺の頭をはたいて教室から飛び出して行く やけに慌てている健に、あ~今日はバイトか… なんて事をぼんやり考えながら、俺も残っていても仕方ないし教室を出る事にした 陽が落ちかけた帰り道 ブラブラと駅から家への道を歩いていると、見た事無い店を見つけて俺は立ち止まる 「……こんな店…いつの間に出来たんだ…?」 いかにも女子受けしそうな可愛らしい…雑貨屋か? 女しかいないんだろうなぁ、と店内を覗いたが誰もいない そういえば看板も店名もないな… 「………変な店」 そのまま素通りしようとしたが、やっぱりなんとなく気になって、俺は数歩下がると店内へ足を踏み入れた 店内は案の定というか、全く俺には無縁の可愛らしい雑貨や小物が綺麗に並べられていた 今更だけど… なんで入ったんだろ、場違いすぎる… やっぱり出よ
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