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自分がもうどんな顔をしているかなんて分からなかった
なんて酷い言葉だろう
秀の気持ちを知っている俺が……一番言ってはいけない言葉
拒絶するより残酷だ……
でも、ひとつ気付いた
素直に秀の気持ちを受け入れられない理由──────
「…………自信がない……」
独り言の様に呟いたその言葉は、紛れもない真実だ
秀が……何で俺を好きになってくれたのか分からない
昔は俺が居なきゃダメだった、ひどく人見知りで消極的だった秀を引っ張ってきたのは俺だ
でも今は?
何もかも逆になってる
わざわざ俺が手を引かなくても、秀は自分の道を進める
友達の輪に誘わなくても、人と渡り歩ける
それなのに……異世界でも、現実でも秀が居なきゃ俺には何も無い
何も出来ない
秀に好きでいてもらえる自信なんか無い
男同士って所より、今はそれが大きい
なんとか前向きに考えたいのに、秀を好きになる度に汚くなる……
少しの余裕でさえ消える
「………自信が無いって……何にだ…?」
秀の声に勝手に自分の肩が揺れる、蔑まれている訳でもないのに辛くなる
「俺………このまま秀の隣にいていいのかな?」
「………おい秀人!?」
くらくらする
考え過ぎて?……違う、異世界に呼ばれてるんだ
だけど………
俺はこのまま……秀の番でいる事は許されるんだろうか?
ゆっくり眠りへと誘われると同時に、どうしようもない焦燥感が襲った
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