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部屋に入り、リビングに荷物を下ろすなり正面からきつく抱き締められた。
「………直希……」
熱を持った唇が、俺の唇を塞ぐ。
それは直ぐに離され、吐息の掛かる距離で低い声が囁く。
「これで最後だ。……これ以上の事は、何もしない」
度の入っていない眼鏡が外され、再び唇に熱が重なる。
強く抱かれたまま、熱い舌が口内を蠢く。
すっかり慣らされたその行為に、直ぐに体は熱を上げて脳まで甘く痺れて溶かされていく。
「んっ、ふ、…ぅ……ん、ん…」
角度を変えて何度も繰り返されるそれは、今までのどれよりも深く激しく、今までで一番優しかった。
長い口付けから解放されて、最後に啄むようなキスを与えられた時、潤んだ瞳に映る漆黒の瞳が何処か切なげに揺れていた気がした。
けれど直ぐに頭を胸元に押し付けられ、体が離れた時にはもういつもの優しい光を宿していた。
交代で風呂に入り、また少しお酒を飲んで。
日付の変わる前にベッドに入った。
先生はただ体温を分けるように俺の体を包み込んで、眠りに落ちるまでずっと、長い指で優しく髪を撫で梳いていてくれた。
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