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順調に5ヶ所を回って、次の出発の朝。三女葉瑠花が突然孫をつれて帰ってきた。なんでも、旦那と喧嘩したらしい。
葉瑠花は俺達と同じ道を歩んで、今はM学院の教師をしている。子供を預かって欲しいと訪ねてきたのだ。
これが始まりだ。
次は、次女舞花と茜の長女朱里が茜の追悼コンサートを急遽企画。愉快な仲間たちにも参加して欲しいと言ってきたのだ。
涙ながらにたのんでくる朱里。断れるわけがない俺とあやめであった。
さらに3回目は出発の前日に小学校の担任が亡くなり(95歳の大往生だった。)葬儀に追われた。
「裕ちゃん、これ絶対におかしいよね?」
7つの本屋さんにたどり着くチャンスは年に1回。これで3年棒にふってしまった。
5ヶ所目まではたどり着けるのに、6ヶ所目に向かう寸前に、外せない予定が入ってしまう。
「となると、オカルト的な物が働いてるのか?」
「じゃあ私達永遠に行けないってことなの?」
「いや、茜はたどり着いたんだ。何か方法があるはずだ。」
「待てよ。茜は3年かかったんだよな。ということは四年目の今年成功したんだよな。去年は哲也の葬式。一昨年は仲のよかった女優さんの引退セレモニーに呼ばれて。その前って、確か…。」
「朱里ちゃんが体調不良で帰ってきてた。それ全部六月よ。」
「朱里ちゃんに聞いてみよう。」
予想はあたった。その年の6月、長男がクラブを移籍。一時帰国したことが判明。茜から頼まれて、朱里ちゃんが留守番していたらしい。
「となると、次は家族の誰かが帰ってくるな。」
「怪しいのは綾花ね。岳斗君6月全日程コンサートがあるって。」
「なら今年は大丈夫だな。」
今年から4女穂乃花が転勤で三重に帰ってきていた(あやめの子供5人目で、やっと月島グループに入社してくれた。あの時の義兄の嬉しそうな顔は忘れられない。)
案の定、綾花が子供を連れて帰ってきた。旦那は山口プロダクションのエースグループGAKUTOの城ヶ崎岳斗。馴れ初めはまた本編にてご案内するが、6月は30日耐久ライブを去年から開催している。綾花は一ヶ月の長期ライブに耐えられず、今年は帰ってきたのだ。
綾花の家もうちと同じく5人の子供がいる。一人ではパンクしてしまうので、じじばばを巻き込もうとしたらしい。
あらかじめ、蓮華義兄さんに頼んで、穂乃花に一週間の有休をもらった。
こうして、難関だった第6の本屋さんをクリア。
いよいよラスボスだ。
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