第一章 こんにちわ脇役

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いつも通りの時間にいつも通りの通学路を歩き、いつも通り、教室に向かう。 「おはよう」 「あっ!おはよーー!!」 僕には友達がいる。勿論、僕は人気者じゃない。それでも、僕には友達がいる。 普通の友達だ。 「慧!こっち来いよ!話そうぜ?」 「あ、うん、今行く!」 「昨日駅前のショッピングモール行ったんだけどさ――」 相手が不快にならないよう、適度に反応し、興味を示す。 そんなことをしていると、教室のドアがガラリと開いた。 途端、教室が静まり返る。 「うわ、来た」 誰かがそう呟いた。 ――桐谷真琴。 このクラスの嫌われものだ。 「ほんっと根暗だよなー。テンション下がるわ」 さっきまで一緒に話していた友達も、彼の悪口に話題を転換する。 「言えてる」 言っておくが、僕は悪口に乗る。 最低だって?うん、そうかも知れない。 でも皆言ってるじゃないか。普通じゃないか。 道徳的に考えたら、言わない奴らのほうが正義なんだろう。 でもおかしなことに、この世界ではそう言う奴らのほうが狂人扱いされる。 正しいかどうかなんて関係無いさ。 普通じゃないことも、人数が多く、声が大きい方が普通になるんだ。 この世界の法則だ。
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