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桐谷side
目の前には酷く嫌そうな顔をしたクラスメイト。
互いに尻餅をついたまま固まっていた。
周囲のざわめきが聞こえた。
そこでふと気がついた。
地面が、真っ黒になっている。
かろうじて影の動きが確認できるくらい。
「天井……」
田中が呟いた。
「な、何だよこれ」
真っ黒になった、地面と天井。
驚いて俺が立ち上がると、田中も慌てて立ち上がった。
ズンッという音とともに地面と天井が白色に戻った。
「これ……」
田中の視線をたどると、足元に薄灰色の小さな正方形のタイルが見えた。
意識してみないと分からないくらい、限りなく白に近い灰色。
「さっき虎康が言ってたやつだ」
多分これが、“特定の壁”。
壊れているわけではない。欠けているわけでもない。
でも、地面と天井の色は変わった。
よく分からない、が。
「おい田中。もう一回尻餅つくぞ」
「は!?」
いかにも俺から離れたそうな田中を無理やり引き止める。
「俺らが尻餅付いている間、ちょうど地面と天井が黒くなっただろ?多分このタイルが関係してる。だからもう一回再現するんだよ」
田中は顔をしかめた。
何か言いかけようとしたかと思うと、おずおずとさっきの尻もちの体制をとった。
俺も体制を作ろうと腰をかがめようとしたら、途端、ズンッという音とともに地面と天井の色が黒くなった。
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