第二章 影踏み鬼子

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「―――!!!」 色が変わった。 俺はまだしゃがんでいない。 タイルのあった場所を確認すると、田中が腰に巻いている紺色のカーディガンに被せられて見えなくなっていた。 「田中。そのカーディガンめくって」 何か察したらしい田中が、タイルのあった場所のカーディガンをめくった。 ズンッ!! 少しして地面と天井が白色に戻った。 「布を被せたら良いのかも」 何かで覆えば。 田中はそう呟くと、ポケットから少し厚めのハンカチを取り出し、タイルに被せた。 時間差で地面と天井の色が変わる。 壁を壊すだけじゃなくて良かったみたいだ。 ズレないよう、誰かの靴を上から置く。 「他にも色の違うタイルがあるはずだ。探そうぜ」 田中は視線を合わせないまま、コクリと頷いた。
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