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隣の壁までだけでもかなりの距離がある。
もっと運動しとくんやった。
ともかくきつい。血の味がする。
でも、止まるわけにはいかん。
無理やり足を前に運んだ。
数分走ったところでようやく壁に辿り着く。
―――急いで探さな!!
馬鹿みたいにでっかい壁。
鬼がおらんならまだしも、鬼がおる中一人で探しきるんは誰がどう考えても不可能や。
「……やるしかないんやけどな」
端から端に走りながら、それでも見落としが無いよう念入りに探していく。
どんな色のタイルなんやろ。
―――ビュン!!!
鬼が飛んできた。
「うわっ!!!」
ガシャーーンという音とともに僕の真上の壁が壊れた。
……しゃがんで正解やった。
壁の破片が頭上から落ちてきたせいで、全身のあちこちから血が出てきた。頭も打った。
痛い。
でも、大したことない。まだ僕は動ける。
「おい!!猫目の兄ちゃん!!俺達が鬼を引き付けるからあんたはそのままタイルを探していてくれ!何人かあの兄ちゃんの手伝い回れ!!」
頭から垂れてきた血でよく見えなかったけど、誰かが言った。
薄っすらと、軽く30人を超える人達が鬼を引きつけ時間を稼いでくれているのが見えた。
「ありがとう!!!」
急いでタイルを探しにかかる。
僕含めて、タイルを探しているのが6人ほど。
袖口で目元の血を拭いた。
―――絶対見つけたる!!!
不思議と、きつさは感じなかった。
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