第二章 影踏み鬼子

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***************** ーービチャ!! ーーベチャ!! 血飛沫が、白い壁を赤く染める。 嘘やろ。こんな、たった一瞬で。 悲鳴が近づく。 鬼を引きつけてくれていた人達は、もう指で数えられるほどしか残っていない。 半分は殺されて、半分は、逃げた。 生理的な涙が出てくる。 僕がさっさとタイルを見つけんから、こんなことになったんや。 こんなに、犠牲を出してしまったんや。 焦りと罪悪感から、必死になってタイルを探す。 諦めたらダメや。 僕がここで探すこと諦めたら、きっともっとたくさんの人が死ぬ。 たとえ僕が死んだとしても、タイルだけはーー 「ッ!!」 悲鳴が途絶えた。 ビュンッという音とともに背後で何かを振り上げる音がする。 不味い、鬼が来た!! 急いでしゃがんだが、しばらくしても思っていた衝撃はこなかった。 「な、なんや!?」 振り返った瞬間、たくさんの布が僕の視界を覆った。 それと同時に衝撃が走る。 ーー鬼の動きが、止まっとる? 「タイル見つけたら布被せろ!!」 唖然としている僕を呼び戻すように誰かの叫び声が飛んで来た。 ーー布!?壊すだけやないんか! 鬼の隙を狙って、すぐさまその場から抜け出す。 もちろん、布を一つ掴んで。 数秒も経たないうちに鬼が動き始めた。 誰が助けてくれたかは、布に隠れて見えんやったけど、せめてもと思いお礼を叫ぶ。 面と向かって言うのは生き延びた後や。 一刻も早く抜け出してみせる、この地獄から。
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