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「…まあ、オマエの人生にどうこう言うつもりはないが。
いつも思う。
女ってのは順応性が高いというか現実的というか。割りと平気なもんなんだな。
イヤスゲエわ、感心する」
自分の杯に口を付け、さもヒトゴトとばかりの乾いた感想を述べる藤城課長。
「…そ…んな」
その言葉に、あっけらかんと誤魔化した悲しみが蘇った。酔いも手伝ってか、私はつい彼に再び感情をぶつけてしまった。
この、人非人!
「…平気な訳……ないじゃあないれすかぁ…」
「な、何だよ」
私はドカドカとテーブルを回り込み、藤城課長の前に立った。
「あのね、アナタ。
私だってついこの間まで、ユメいっぱいの オトメだったんです。
アコガレの大手企業に入って、仕事も恋も頑張って…
ソレが。
身に覚えのない借金で全部パー。
来週はロン毛と “カンツー式”
あなた!
威張ってばっかりいないで、ちょっとくらい人の気持ちを考えたらどうなんですかっ。
うわーーーん!
私だって人並みに、せめてハジメテのチューくらいは好きなヒトとしたかったよ~。
カチョーのアホ、バカ、冷血ドエスの鬼悪魔ーーーー!!」
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