母の記憶

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「で、その “ホンモノのアイ” とやらを、どうやって俺に教えてくれるんだ?  経験値 “ゼロ” の四葉がよ。寝てみるか、俺と」  意地悪な目が、弄るように私を見ている。 「う…あ…」    どうしよう。  何も考えず、勢いで言ってしまったから…  けれど負けてはいられない。  私は懸命に考えた。 「だからそのっ……そういうのではなくって…  そうだ私、ずっと……好きでいます」 「はあ?」 「だ、だから…  課長が私を好きじゃなくても、ヒドイこと言われても、踏まれても蹴られても。  私からは絶対に。  好きでいることを…止めません」   「……ハア…」  彼は呆れ返ったようだった。  ふっと肩の力を抜いて、そのまま脱力したように、ベッドにパタリと仰向けた。 「ドMか、オマエは。  まあいいさ……好きしろ。  だけどなオマエ。  俺の女のタイプ、知ってるよな?」 「う…」  そうだ、彼の好みはサッパリ&スレンダー美人。 身も精神(ココロ)もお子様仕様の私とは、正反対のタイプ。
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