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さて、パーティ当日。
その日は、朝から物々しい雰囲気に包まれ、何もかもが日常から離れていた。
いつもは静かな古屋敷は、私たち使用人の手によってピカピカに磨き上げられ、大勢の業者が往き来している。
見慣れないダークスーツにサングラス姿の男達は、総帥のボディーガードだろうか。
午後も過ぎると、今度はエントランスの大広間はボチボチとお客様を迎え、メイドや業者が、忙しそうにたち働いている。
その頃____
屋敷の内奥の一室では、四葉美咲の大変身が、密やかに進行していた。
「ホラ、どうよコレ。バッチリでしょ」
「う~ん。何だかムネに引っ掛かりがないんですが…」
「大丈夫。
ハンカチでも詰めときなさい」
レイカ嬢のクローゼットは、色とりどりの、しかも最先端のデザインのドレスが何百着も掛かっていた。
ふわぁ、スッゴイ。
目を輝かせ、いざ試着を始めたはいいが…もともとがサイズ違いだし、似合うドレスが見付からない。
それでも何とか丈の合った、オフショルダーのシャンパン色のミニ・ドレスを着て、鏡の前でクルッと回ってみた。
なんと。
てっきり、シンデレラをこき使う意地悪姉さんと思いきや、レイカ嬢は、ノリノリで私を着せ替え人形にして下さる、優しい魔女のほうだったのだ。
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