ファースト・キス

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 振り向くと、驚いた顔をした藤城課長が立っていた。  浴びるほどの杯を受けていた筈なのに、全く顔色が変わっていない。  藤城課長に会えた!  現金なもので、先程の落ち込みは消し飛んで、私は急に元気になった。  晴れ姿を見てほしくって、彼の前でヒラリと回る。  それを見ると、彼は少しだけ微笑んだ。 「どうしたんだ、その格好は。  引っ掛かりがなくてズルッといきそうな…イテっ…」 「あのね、実はレイカ様が______」    良かった、いつも通りの課長だ。  私は浮き立った気持ちのまま、コトの経緯を話始める。 「ちっ、アイツめ、また逃げたな」  大舞台を終えた彼は、程好く酔ってリラックスし、機嫌も悪くないようだ。私の説明を聞いても、苦笑いしただけった。
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