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「やあ、お邪魔してるよ」
「将馬サマ!」
コタツに寝転がって寛いでいた将馬様は、私の姿を見つけると、ニコッと笑って手を振った。
やっぱりな、あの蛍光色のクロックスは間違いない。
全くもう、兄弟揃ってこの人達は。
私は慌てて涙を拭った。
「…あのねえ。仮にもオトメの部屋で、寛がないで下さいよ。アサダさんがずっと探してましたよ?」
「アッハッハ。
だからさ、ここは盲点だろ?
それよりも、どうしたの?随分とヒドイ有様だけど」
ビクッ。
身体が自然に強張った。
そんな私に彼は穏やかに微笑むと、
「……聞こうか?
僕で良ければだけど」
首を少し傾げながら、優しく訊ねた。
今一番欲しい言葉が、原因の張本人と同じ顔から流れ出る。
2人の顔が重なって_______
「う、う、うわーーーーん!!」
一旦は引いた悲しみが、再び波のように襲いかかってきた。
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