課長の正体

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 彼が私に手を差しのべた。  躊躇いながらもその手をとると、彼は私を力強く引き上げて、その傍らにトンと立たせる。  真っ直ぐ私を見据えながら、静かな口調でこう告げた。 「なら、誓え。 お前の全てを俺に任せると」 「え、なんかそれも怖…」 「“キャンディちゃん” になったお前をからかいにいっても、俺は全然構わないんだが?」 「誓いますっ!藤城課長に 私の全てをオマカセします!」  急いで首を上下させると、彫像のような冷たい顔が、にわかに、花のように綻んだ。  ずっと高いところから、私の頭をワシワシと撫でる。 「よーしいい子だ。  なら、今からお前は俺のモノ。 お前の全部、俺に任せろ」  その時の、力強い自信に満ちた笑顔が___  私の胸にとても印象強く残った。
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