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「あの…でも私、実は…」
「ああ知ってるよ。君は兄さんが好きなんだろう?」
「な、ななナゼにそれをっ」
どうして皆、知ってるの?!
目一杯に狼狽える私に、彼は涼しい顔で答えた。
「ハハ、だって、美咲ちゃんは分かりやすいもの」
兄弟に揃って同じことを言われてしまった…
モジモジと俯く私に、彼はやっとネタをばらした。
「ウソウソ。
帰った日にね、君達が話しているの、偶然聞いちゃったんだ」
「な…なんだ…そうだったんですか」
照れ隠しに、何でもない風を装おってみせる。
しかしその直後、彼は厳しい声でピシャリと言った。
「でもダメだね…兄さんは。
アイツは君とは釣り合わない。住む世界が違うんだから」
「あ……」
さっきまでの浮わついた気持ちが一気に消沈していった。それは、今日目の当たりにしたまぎれもない現実だ。
「そ、そりゃあ…分かってますけど…」
「ね?だから…」
項垂れた私の膝に乗せた左手に、彼はそっと手を重ねた。
だが、私の答えは___
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