弟の誘惑

10/10
前へ
/283ページ
次へ
「冗談じゃない、本気だよ僕は。  ねえ、美咲ちゃん  悪いようにはしないから。 アイツなんかより僕の方が、君をちゃんと愛してあげられる」 「い、ヤダっ…」  私を組敷いた彼は、やにわに襲いかかってきた。  両の手首を痛いほど掴み、両脚に全体重を乗せて四肢の自由を奪う。  そうしておいて、唇を強引に奪おうとする。 「や…めて…ったら…このっ」  私は、自由のきく首だけを懸命に動かして、力の限り暴れて叫んだ。  「この、エロ将馬あぁーー!」  でも、威勢がいいのも時間の問題だった。  彼が意思を変えない限り、力で敵うものではなく、私の力が尽きるのに、さほどの時はかからなかった。 「ホントに…もうやめ…て…」  半ば諦め、それでも力なく抵抗を繰り返していた時だ。  突然、 荒々しい足音と、部屋全体を揺るがすような怒声が響いた。 「何をしてる!」
/283ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4704人が本棚に入れています
本棚に追加