君を抱く

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 将馬が去って2人きり___  何とも言えない、気まずい雰囲気が部屋を覆う中、彼がポツリと問いかけた。 「四葉、何故お前はアイツを庇った」 「そういうつもりは…ありません」  ただ、二人の争いを見たくなかっただけだ。   「何もされなかったか」 「特には…何も」  課長のお陰で、未遂に終わった。  彼は少し間を置くと、今度は話を変えてきた。 「あの後、俺は会場に戻ったんだが…逃げた四葉が気になった。  なぜ、逃げた?」 「……」  打(ぶ)ったことを咎められるかと思いきや、そうではなかった。  彼は心から不思議そうに訊いている。  ご主人様の心ない仕打ちに、心が折れそうだったから…とは言えない。 「……ビックリしたので」  私は咄嗟に嘘をついた。  彼は “納得がいかない” といったふうに首を傾げながらも、また話を変えた。 「さっき……アイツとお前の姿を見たとき。俺は無性に腹が立った。何故だ?」 「エ?」  質問の意味を受け取りかね、私は思わず聞き返した。  しかしそれには答えずに、少し黙った後、彼はまた別な質問をした。 「これは嫉妬だろうか。なあ、俺は将馬に嫉妬してるのか?」
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