君を抱く

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「………」  回答を持っていない私は、黙り込むしかない。  どうやらこれは、私に訊ねるというよりは、むしろ自問しているようだ。   と、彼はピタリと視線を私に向けた。 「四葉。 俺はお前が……好きなんじゃないんだろうか?」 「!?」  私は驚き、顔をあげた。  彼は不思議そうに私を見つめた後、一人合点した。 「多分……いやきっとそうだ。  何かの本で読んだことがある。特定の異性の様子が気になるのは “好き”という感情だと」  それが本当であれば、死ぬほど嬉しい。泣いてしまいそうな程に……  しかし、私はこう答えざるをえない。  肌に感じ、将馬に言われ、思い知らされた現実を。 「住む世界が…違ってました。  今日パーティでやっと気がついて。  生意気言って…スミマセンでした」  だが、その刹那。  彼はひどく哀しそうな顔をした。 「何故だ?  以前お前は、俺を『ずっと好きでいる』って言ったよな。  オマエの『好き』はそんなものか?  お前は……お前も俺を見捨てるのか?」 
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