4704人が本棚に入れています
本棚に追加
「………」
回答を持っていない私は、黙り込むしかない。
どうやらこれは、私に訊ねるというよりは、むしろ自問しているようだ。
と、彼はピタリと視線を私に向けた。
「四葉。
俺はお前が……好きなんじゃないんだろうか?」
「!?」
私は驚き、顔をあげた。
彼は不思議そうに私を見つめた後、一人合点した。
「多分……いやきっとそうだ。
何かの本で読んだことがある。特定の異性の様子が気になるのは “好き”という感情だと」
それが本当であれば、死ぬほど嬉しい。泣いてしまいそうな程に……
しかし、私はこう答えざるをえない。
肌に感じ、将馬に言われ、思い知らされた現実を。
「住む世界が…違ってました。
今日パーティでやっと気がついて。
生意気言って…スミマセンでした」
だが、その刹那。
彼はひどく哀しそうな顔をした。
「何故だ?
以前お前は、俺を『ずっと好きでいる』って言ったよな。
オマエの『好き』はそんなものか?
お前は……お前も俺を見捨てるのか?」
最初のコメントを投稿しよう!