課長の正体

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________ 「おうおう!  即金で2000万払うって言うからどんなヤツかと思えば、生っ白い優男じゃねぇの」  件のロン毛とスキンヘッドは、本当に10分でやって来た。  私はサッと藤城課長の後ろに身を隠す。  スキンヘッドは土足で畳に上がり込むと、キッチリと背筋を伸ばし正座している藤城課長のすぐ横に、胡座をかいた。  顔を彼の鼻先まで近づけ、覗き込む。 「さ~あ兄さん?  さっきはアニキに向かって随分息巻いてたみたいだけど?  即金で2000万だぞ、現物あんだろうなコルァ。  女の前だからってカッコつけんじゃねえぞ、オラ」 「…………」  (ほらぁ、カチョーがあんなコト言うから… 一体どうする気なんですかっ?)  私はもう気が気ではない。  何と言っても相手はプロだ。明日の朝、2人仲良く隅田川に浮いてたりしたらシャレにならない。  が、彼は涼しい顔をしたまま、悠長に盃に口を着けて言った。 「おいハゲ。  息が匂うからあまり顔を近づけるな」   イヤァァァァァ!!  何言っちゃってんのォ、この人。  (ダメ、ダメですよぅ!)  真っ青になって私は、課長のスーツをギュウギュウ引っ張った。   「んだと、コラァッ!!」  当然のように、スキンヘッドは声を荒げ、課長の前髪を掴み上げた。
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