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というか、今の状況だともろ正解だ!
表面上は笑顔を繕いつつ、私は内心の動揺を押さえられないでいた。
しかし彼は、もうこれ以上この件には触れようとはしなかった。
でもその代わり、“内証な” と口止めして、彼らしくない事を言ったんだ。
「…俺、藤城課長は仕事出来るし、いずれは雲の上に行って然るべき人だと思ってる。
“ラッキーだ” って、今から取り入ろうとしてるヤツも多いけど…
何て言うか、人としてはどうかと思う。
冷たいっていうよりは、まるで心がないみたいに、簡単にヒトを切り捨てる。
正直俺は、遠巻きにしときたいって思うよ」
「………ハイ」
彼の事をそんなふうに言われるのは、自分の事よりもっと辛い。
その批判が的を得ていればなおさらだ。
じっと項垂れて聞いていると、香河さんが私の肩をポンと叩いた。
「ゴメン、変なこと言って。
じゃあ、もう昼休憩終わるから」
彼はもう一度ゴメンと呟くと、いつもと変わらない微笑みを私に投げた。
去っていく後ろ姿が、幾分寂しそうに見える。
先輩は、ちゃんと待っててくれたんだ。
私なんかを本当に好きになってくれていた。
なのに私は……
一人になった私は、不覚にも泣いてしまった。
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