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ほどなくして、呼び出したコンシェルジュに、慣れた様子でルームサービスを注文する。
彼の退室を見届けると、藤城課長は窓側に立ち尽くしていた私にようやく声をかけた。
「…座ったらどうだ」
「は、はい」
私はソファの隅っこに恐る恐る腰掛けた。
スプリングが効きすぎるソファは、フワッと腰が沈みこんで、落ち着かない。
運ばれてきた軽食とシャンパンがセッティングされると、彼はボーイに今夜はもう取りに来ないように言い、チップを渡した。
優雅な一連の動作を洋画でも見るように眺めていた私は、ボーイも消えて二人きりになると、ようやく口も滑らかになり、いつもの調子で探りを入れた。
「い、イヤ~、スゴいですね~。でもこの趣向は一体……ソロソロ教えて下さいよ~、オヤビーン」
彼はそれには応えずに、シャンパングラスを傾けながら、逆に私に尋ねた。
「……さっきのは、何だ」
ようやく彼から出てきたのは、穏やかでない訊問口調。
ああ、やっぱり。
さっきの事を、御主人サマは怒っていらっしゃるようだ。
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