藤城課長の嫉妬心

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 躊躇いつつも、私は彼の傍らに身を寄せた。  ドキドキしながら彼のネクタイを緩めていく。  私を真っ直ぐに見下ろす目は、私の所作に少しの躊躇いも許さない。  震える指でシャツのボタンを外していく。  第1ボタン、第2ボタン…  肌けた胸のシャツの上から、怖々唇を寄せ、そこで動作をピタリと止めた。 「…やっぱり…出来ない」  「言葉だけでは、信用出来な…」 窮鼠はネコを、いやトラを噛む。 追い込まれた私は…… キレた。 「違~~~~う!!」  私は彼の耳のすぐそばで、高校時代に剣道部で鍛え上げた、つんざく大声で叫んだ。  唖然とする藤城課長。  その隙をつき、私は更に彼の耳を引っ張ると、直に口を当てて畳み掛けるようにいい放った。 「だから、  貴方のそういうトコが怖いってんです! 出来ないモノは出来ないの、恥ずかしいの、無理なの、私は全っ然経験が足りてないの。  いい加減に、その無茶振りはヤメなさーーーい!!!」
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