課長の正体

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「いっ?イヤそんなハズは…」 「俺が計算した額だと、利子元金しめて1445万円、キリよく1500万円。  これ以上はビタ銭一文払えんな」 「…んだとォ!?値切ろうってのかよっ」  鼻先まで顔をよせ、歯を剥いてメンチを切ったスキンヘッド。  それを左手で払いのけ、藤城課長は皮肉な笑みをたっぷりと浮かべた。 「さぁて、金利超過に恐喝未遂。  不満があるなら我家の弁護団が纏めて相手をしてやるが?  何なら、余罪までキレイにしてやろう。  君らのボスが困らなきゃいいんだが…」 「ぐぅっ……んだとコラ、俺らがそんなオドシに乗るとでも…」 「オイ、カズやめとけ」 「でもアニキ!こいつ、いくら何でも…」  ロン毛は、興奮した舎弟を腕で制すと、唇を歪め、フッと前髪を掻き上げた。 「兄さんよぉ…」  首を鳴らしながら拳の間接をゴキゴキ鳴らす。    そして……   「モッチロン、仰るとおり1500万円ですとも!  大っ変申し訳ございませんっ。  当方、計算ミスをしておりました。いやお恥ずかしい、プロ失格でございます。ささっ、どうぞコチラへサインを!」
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