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すると彼は、今、目の前にあるモノを私の手に握らせた。
やり方は知っているものの、さほど慣れいるわけでいない。
どちらかと言えば、普段の彼は他人から触れられるのをあまり好まないからだ。
居丈高に振る舞いながらも、どこか潔癖で神経質、他人が自分に入り込むのを拒絶している。
それは無論、私にさえも…
けれど今夜、私は彼に一歩踏み込んだ。何度か手を使ったあと、私は初めてソレに唇を寄せてみた。
思ったとおり、びくっと彼は拒絶反応を示し、腰を引いた。
「み…さき……しなくていい」
「ん……」
それでも私は構わず続けた。
先から湧いて流れている透明な液。
彼が私に欲情している。
そう思うと、それがやけに愛おしく、私に妙な悦びを呼び起こした。
慣れない所作で、それを舐めとると口の中に慣れない苦みが広がった。
口では拒絶を示しながらも、彼は逃げようとはしなかった。
やがて、耐えきれないように息遣いを速くしながら、ぐっと私の後頭を押さえてくる。
「…ぐっ」
喉の奥まで彼でいっぱいに満たされて、私は少し苦しくなった。
一時、動きが止まってしまう。
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